「ナス」栽培のポイント
ナスの生育適温は22~30℃で、17℃以下では生育がゆっくりとなる。
霜には非常に弱く、マイナス1℃で凍死する。ハウス内の温度を昼間25~28℃を目安に換気し、夜間16~20℃に保つと生育が最も優れるが、これ以下に温度が下がる時期には保温に努める。
種子の発芽の適温は25~35℃だが、一定温度にするよりも16時間30℃の後に8時間20℃の変温にするほうが発芽がよくそろう。
花粉の発芽適温は20~30℃である。
開花前7~15日に15℃以下の低温や30℃以上の高温にあうと、不稔花粉が生じて落花しやすい。土壌が乾燥すると雌しべの発達が悪くなり、雄しべより短い短花柱花が多くなる。
土壌の適応性は広く、砂壌土から壌土で生育がよい。
しかし、乾燥には弱く、適度な土壌水分を好む(pF2.0~2.3)。土壌のpHは6.0~6.8がよい。ナスは生育期間が長く、施肥量が比較的多い野菜である。
開花、結実の盛んな時期にチッソ、カリの吸収が著しい。不足すると、花器の発達が悪く、短花柱花が増加する。
(1)生育初期の注意点
生育初期に肥料が効きすぎると、枝の徒長や過繁茂、花芽の落下につながり、初期収量の低下を招くので、過度の施肥は避けたい。
また、ナスは苦土や石灰の欠乏が出やすい作物なので、苦土質肥料や石灰質肥料を元肥として施用する。
畝はかまぼこ型につくり、排水の悪い圃場では高ウネとし、乾燥しやすい圃場では平畝とする。畝幅は通路幅(60cm)を含め、180~230cmにするとよい。
マルチは、保温効果があり、アブラムシ、ミナミキイロアザミウマなどの害虫がきらう反射マルチを使用する。
(2)施肥管理
ナスの根系は土中深くまで入り込むので、十分な根群域を確保しなければならない。
そのため、作土は20~25cmチ程度の深さが必要になる。ナスは有機質に富んだ肥沃な土壌を好むことから、ナスの定植圃場には前作終了後に良質の堆肥を10a当たり二トン程度施し、深耕しておく。
定植の2週間前に元肥を施し、耕うんしてから畝をつくり、マルチを敷いて地温を上げておく。
元肥は緩効性肥料を主体に、窒素とカリウムを全施用量の半量、リン酸を全量施用する。
また、肥料成分の初期の溶出が少なく溶出日数の長い肥料を使い、窒素、リン酸、カリウムの全量を元肥で投入する追肥をしない施肥方法もある。
基肥量は、10a当たりで窒素14~17kg、リン酸21~24kg、カリウム17~20kg程度として、追肥量は、窒素23~25kg、リン酸13~15kg、カリウム15~17kg程度とします。